
Story
ブランドの物語
I
石の中で、光が起きる
透明な石の中で、何かが光ることがあります。
水晶の内側を、細い針が走っている。
光を当てるとその針が瞬き、石の奥に小さな光が見えます。初めて見たとき、しばらく見入ってしまいました。
石の中で、光が起きている。
そう感じた瞬間が、Aterisの始まりでした。
ブランドの名前は、ラテン語の Ater(闇)と、ギリシャ神話の虹の女神 Iris から取りました。暗い場所で生まれ、光となって現れるもの。地の奥深くで眠っていた石が、誰かの手元に届いて初めて光を放つ、その流れを名前にしたかったのです。
Ater + Iris ── Ateris。
闇と光が、ひとつの言葉に重なる場所。
II
何億年という時間
石は、人よりずっと長い時間を生きています。
水晶の中に針が浮かんでいる、あのルチルクォーツ。あの針は、何億年も前、地下の熱水の中でゆっくりと結晶になり、その後にまわりを石英が包み込んで、今の姿になりました。
地球がまだ形を整えていく途中で、誰の目にも触れない深さで起きていたこと。それが長い時間をかけて地表に上がり、人の手を経て、今、私の手の中にある。
そう考えると、一粒の石を選ぶことの重さも、それを誰かに届けることの意味も、少しずつ違って見えてきます。
III
信じられる石を、選ぶということ
天然石を扱う上で、私が大切にしていることがあります。
それは、自分が信じられる石だけを選ぶ、ということです。
天然石の流通には、加熱や染色などの処理が施されたもの、別の石を本物として扱うもの、産地を偽ったものが、少なからず混ざっています。買う側がそれを見分けるのは、簡単ではない。だからこそ、選ぶ側の役割は小さくないと思っています。
仕入れた一粒ずつを自分の目で確かめます。針の入り方、母石の透明度、組み合わせたときの調和。気になるところがあれば使いません。
そして、Ateris で扱う石にはすべて、鑑別書を付けています。これは特別なことではなく、誰かに渡すものとして、自分なりに当たり前のことをしているつもりです。
買う人が安心できる状態で、石を手にしてほしい。それだけのことです。
IV
あなたの手元で
ブレスレットは、装いだけのものではないと思っています。
手首の上にあって、視界の端でふと光る。誰かと話しているとき、本を読んでいるとき、ひとりで考えごとをしているとき、その光がそこにある。
何かを劇的に変えるわけではないけれど、暗い気持ちのときに、ふと目に入る光があるかどうかで、その日の感触は少し変わります。
石の中で、光が起きる。
その瞬間が、あなたの手元にあれば嬉しく思います。
それが、Aterisから届けたいものです。